Money Laundering
by TACHIBANA Akira
TOUR in HONG KONG
13.光の海
遅い夕食が終わると、秋生をベッドに寝かせて、メイはシャワーを浴びに行った。
うつ伏せではどうも寝つかれず、窓際まで行ってカーテンを開けた。
眼下に、光の海が広がっている。
なにもかも遠い出来事のように思われた。
顔色の悪い、やつれた貧相な男が一人、窓ガラスに写っていた。
自分がやろうとしていることが正しいのかどうか、秋生にはわからなかった。
麗子のために偽のパスポートをつくるのは簡単だ。
だが、それだけでは意味がない。秋生は、麗子の金を見つけるつもりだった。
ふと気づくと、隣にバスタオルをまとったメイの姿が写っていた。
白い肌が上気し、髪の毛に水滴が光っていた。
眼下に広がる光の海